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2017年度 業務年報の発行 | 兵庫県立健康生活科学研究所 健康科学研究センター

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Academic year: 2018

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(1)

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(2)

当研究センターは、県民の安全・安心を確保するため、公衆衛生に関する調査研究や試験分

析を行い、感染症や食品、医薬品、飲料水などに関する行政推進のための科学的、技術的根拠

を提供しています。

昨年度は、当研究所の第4期中期事業計画(平成26年度~28年度)が終期を迎えたことか ら、過去の事業実績と外部評価委員会による機関評価を踏まえ、第5期中期事業計画(平成29

年度~31年度)を取りまとめました。

新しい中期事業計画の基本的方向に基づき、当研究センターは、健康に関する技術的、科学

的な中核的機関として、健康福祉事務所(保健所)等の関係機関と連携して、高度な試験検査

機能を生かし、感染症、食品、医薬品及び飲料水等の健康危機管理対応における原因究明の役

割を担うとともに、平素から試験検査に関する調査研究及び検査精度の向上、感染症等の疫学

的調査研究などに努めることとしています。

また、感染症等の疫学的情報や花粉飛散状況などの公衆衛生に関する情報の収集、解析、提

供などを多様な媒体を活用して行い、リスクコミュニケーションを実施します。

さらに、平成27年度から移転建て替えを進めており、来年度からは加古川市神野町の新たな 研究センターで充実した研究環境のもとに業務に取り組む予定です。

来年8月には、当研究センターが県立の衛生研究所として設立70年の節目も迎えます。新し い庁舎で、職員一丸となって、国や他府県の研究機関や大学等とも連携を図りながら、行政機

関への技術的支援や研究成果等の県民への情報提供など、更に県民の公衆衛生の向上に努めて

まいりますので、今後とも、皆様方のご理解とご支援をお願いいたします。

平成29年8月

兵庫県立健康生活科学研究所健康科学研究センター

(3)

はじめに

1 沿 革 1

2 研究センターの概要

2.1 職員数 1

2.2 施設・設備 1

2.3 組織及び分掌事務 2

2.4 職員一覧 3

2.5 職員の異動 3

2.6 試験研究主要備品 4

2.7 予算・決算 5

3 部の概要

3.1 危機管理部 6

3.2 感染症部 10

3.3 健康科学部 18

4 試験検査の概要

4.1 行政検査件数 27

4.2 一般依頼検査項目別手数料 28

5 調査研究課題一覧表 29

6 試験検査項目等一覧表 30

7 普及啓発活動一覧表

7.1 研究センター講演会 32

7.2 研究・調査発表会 32

7.3 県職員の研修指導 32

7.4 県職員以外の研修指導 33

7.5 研修会等での講演 33

7.6 施設見学等 34

7.7 委員会の委員等の就任 34 7.8 非常勤講師・客員研究員等の就任 35

(4)

9 論文等発表抄録

9.1 他誌 37

9.2 兵庫県立健康生活科学研究所健康科学研究センター研究報告第8号(2017) 39

10 著書発表一覧表 40

11 検査結果等

11.1.1 全数把握対象疾病の疾病別年間累積患者数 41

11.1.2 全数把握対象疾病の疾病別週別患者数 42

11.2 週報対象疾病の疾病別週別患者数 43

11.3 月報対象疾病の疾病別月別患者数 44

11.4 結核菌の同定試験及び結核の感染源調査 44

11.5 血液検査による集団結核菌感染の早期診断 44

11.6 腸管出血性大腸菌感染症に係る依頼検査 45

11.7 細菌による食中毒(疑)事例の感染源、感染経路調査 45

11.8 食中毒(疑)発生時のクドア(ヒラメ寄生虫)の検査 45

11.9 その他の細菌の依頼検査 46

11.10 インフルエンザウイルスの検出状況 46

11.11 豚日本脳炎ウイルス抗体保有状況 46

11.12 集団嘔吐下痢症からのノロウイルス等の検出結果 47

11.13 蚊媒介性感染症の検査 47

11.14 リケッチア等の検査 47

11.15.1 感染症発生動向調査における月別病原体検査件数 48

11.15.2 感染症発生動向調査における月別疾患別病原体検出件数 48

11.16 残留農薬検査結果 50

11.17 国産食肉の残留農薬試験結果 55

11.18 畜水産食品等の残留医薬品試験結果 56

11.19 国産食肉の残留医薬品試験結果 56

11.20 輸入柑橘類の防かび剤試験結果 57

11.21 輸入食品における指定外添加物等の試験結果 57

11.22 ピーナッツ等のカビ毒(アフラトキシン)試験結果 58

11.23 有用貝類等毒化調査結果 58

11.24 器具・容器包装の規格試験結果 59

11.25 家庭用品(繊維製品)の試買試験結果 59

11.26 アレルゲン(アレルギー物質)を含む食品の試験結果 59

11.27 食品の放射性物質試験結果 60

11.28 水道水質試験の検査項目 61

11.29 水質管理目標設定項目の農薬類(102種) 62 11.30 水質管理目標設定項目の農薬類(120種) 63

11.31 浄水の検査結果の概要 64

11.32 水道原水の検査結果の概要 65

(5)

1

沿

昭和23年 8月 16日 兵庫県衛生研究所規程(兵庫県規則第 78 号)が制定され,神戸市生田区下山手 通4丁目57において衛生研究所として発足.

昭和24年 5月 17日 機構拡充に伴い,神戸市長田区大谷町 2 丁目13に移転. 昭和40年 4月 1日 衛生研究所,工業奨励館にそれぞれ公害部を設置. 昭和43年 4月 1日 公害部を一元化し,公害研究所として発足.

昭和43年 4月 20日 保健衛生センター新築により,衛生研究所及び公害研究所が神戸市兵庫区荒田町 2丁目 1 番29号に移転.

昭和50年 8月 1日 公害研究所が新庁舎の施工により,神戸市須磨区行平町 3 丁目 1 番27号に移転. 昭和62年 4月 1日 県立衛生研究所,県立公害研究所に改称.

平成14年 4月 1日 機構改革により,県立衛生研究所(兵庫区)と県立公害研究所(須磨区)が統合 され,県立健康環境科学研究センターとなる.

平成21年 4月 1日 機構改革により,県立健康環境科学研究センターの健康部門(兵庫区)と生活科 学総合センター(中央区)が再編統合され,県立健康生活科学研究所となる.

2

研究センターの概要

2.1

職員数

平成29 年4月 1 日現在

区 分 事 務 職 技 術 職 技能労務職 計 医 師 職 研 究 職 その他技術職 自動車運転員

危機管理部 4 1 0(1) 2 1 8(1) 感染症部 0 0 6 1(1) 0 7(1) 健康科学部 0 0 9(1) 1 0 10(1) 小 計 4 1 15(2) 4(1) 1 25(3) 研修広報部 5(1) 0 0 0 0 5(1) 相談事業部 4 0 0 5(2) 0 9(2) 小 計 9(1) 0 0 5(2) 0 14(3) 合 計 13(1) 1 15(2) 9(3) 1 39(6) (注)( )外書き:再任用職員

2.2

施設・設備

健康科学研究センター 神戸市兵庫区荒田町2丁目1-29

(1)敷地面積 2,318.04㎡

(2)建築面積 880.73㎡ 延面積 4,683.91㎡

延面積内訳 本館(地上 7 階,地下1階建) 4,005.95㎡ 別館(3階建) 576.00㎡ 車庫・受水槽・ポンプ室 95.21㎡ 危険物倉庫 6.75㎡

(3)設備概要 特殊研究室 高度安全実験室(P3),クリーンルーム,核種実験室

(生活科学総合センター 神戸市中央区港島中町4-2)

(1) 敷地面積 3,480.99㎡

(2) 建築面積 1,118.31㎡ 延面積 2,087.02㎡

(3) 延面積内訳 研究棟(3階建) 1,422.37㎡ 多目的実験棟(2階建) 601.63㎡

倉 庫 42.48㎡

(6)

2.3

組織及び分掌事務

県立健康生活科学研究所

健康科学研究センター

危機管理部

職員の身分取扱い・研修及び福利厚生に関すること 総務課 庶務事務

予算・経理事務

健康に係る危機管理機能の総括 関係機関との連絡調整

研究の評価・進行管理・調整,研究機能充実方策の検討 研究業務の企画調整

県民に対する情報収集,提供(広報誌の発行,講演会の開催等) GLPに関すること

健康教育の促進,人材育成の支援 研修業務に係る企画調整

細菌性疾病,ウイルス性疾病に関する試験研究 結核,エイズ等の検査

食中毒感染源・感染経路調査 感染症発生動向調査

県感染症情報センターの運営 衛生検査所の外部精度管理

公衆衛生の統計に関すること

食品中の残留農薬,動物用医薬品及び食品添加物等に関する試験研究 食品の毒性に関する試験研究

食品中の有害物質に関する試験研究

医薬品,化粧品及び衛生材料等に関する試験研究 家庭用品及び容器包装等に関する試験研究 遺伝子組換え食品に関する試験研究 放射能及び飛散花粉に関する調査研究 衛生害虫及びカビに関する試験研究 水道水等の安全性に関する試験研究 水道水の監視項目等に関する試験研究 水道水質検査機関の外部精度管理 温泉に関する試験研究

生活科学総合センター

職員の身分取扱い・研修及び福利厚生に関すること 研修広報部 庶務事務

予算・経理事務

施設見学・施設利用受付 広報・消費者啓発 各種研修事業

相談事業部

市町等消費生活相談支援 消費生活相談の受付・処理 安全・安心相談

商品テスト及び調査

指 導 課 県消費生活関係条例及び法令に基づく事業者指導 危機管理課

企画研修課 感染症部

健康科学部

(7)

2.4

職員一覧

平成29年 4 月1日現在

部 名 職 名 氏 名

研究所長兼センター長 副研究所長兼 副センター長

副研究所長兼 副センター長

大 橋 秀 隆 大 西 徹 稲 田 忠 明

危機管理部 部 長

総 務 課 長 課 長 補 佐

〃 主 任 技 師

眞 杉 佳 憲 (眞杉危機管理部長兼務)

増 屋 吉 隆 幸 田 純 一 長 田 幸 久 所 長 補 佐 兼

危 機 管 理 課 長 上 席 研 究 員

主 査

西 下 重 樹 望 月 利 洋 小 林 美 幸 感 染 症 部 部 長

研 究 主 幹 衛生検査専門員 上 席 研 究 員

主 査

主 任 研 究 員 〃 〃

(稲田副研究所長兼務) 秋 山 由 美 松 尾 美也子 押 部 智 宏 坂 野 桂 荻 美 貴 髙 井 伝 仕 荻 田 堅 一

健康科学部 部 長

研 究 主 幹 主 席 研 究 員 主 任 研 究 員 主 任 研 究 員 課 長 補 佐 主 任 研 究 員

〃 〃 研 究 員

野 村 素 行 川 元 達 彦 後 藤 操 井 上 亘 吉 岡 直 樹 上 村 育 代 赤 松 成 基 谷 畑 智 也 服 部 涼 子 鈴 木 雅 和 小 林 直 子

2.5

職員の異動

転 出(平成29年 4 月 1 日)

感染症部 主任研究員 齋藤 悦子 芦屋健康福祉事務所へ 健康科学部 担当課長補佐 林 幸子 宝塚健康福祉事務所へ

転 入(平成29年 4 月 1 日)

研究所長兼センター長 大橋 秀隆 龍野健康福祉事務所から 副研究所長兼副センター長

兼感染症部長 稲田 忠明 県薬務課から 健康科学部長 野村 素行 県薬務課から

健康科学部 研究員 鈴木 雅和 朝来家畜保健衛生所から

再任用(平成29年 4 月 1 日)

危機管理部 上席研究員 望月 利洋 感染症部 衛生検査専門員 松尾 美也子 健康科学部 主任研究員 井上 亘

退 職(平成29年3月31日) 研究所長兼センター長 前田 盛 副研究所長兼副センター長

(8)

2.6

試験研究主要備品

(注)購入価格 500万円以上の備品を記載

機器名 型式 数量 取得

年月 価格

千円 機器名 型式

数 量

取得 年月

価格 千円

超遠心機 日立CP-70 1 H.2.3 8,991 蛍光微分干渉顕微鏡及びデジタル装置 オリンパス

BX61-34-FLD-1 1 H.16.3 6,216

高速液体クロマトグ

ラフ HP社 HP1090M 1 H.2.10 6,664

ガスクロマトグラフ /質量分析計

アジレントテクノロジー

5973inert 1 H.16.8 15,435

超遠心機 日立CP-56G 1 H.3.12 7,769 誘導結合プラズマ質量分析計 パーキンエルマー

ELAN DRC-E 1 H.17.3 16,989

高度安全実験施設 日立

BHラボユニット 1 H.4.1 33,533

ゲル浸透クロマトグ ラフ

ジーエルサイエンス社

G-Prep8100 1 H.18.6 5,880

蛍光プローブ定量用

プレートスキャナー cytofluor2350 1 H.5.9 6,180

液体クロマトグラフ 飛行時間型質量分析 計

Agilent6210 1 H.18.6 39,900

P&T装置付GC/MS HP5972A-5890Ⅱ 1 H.5.11 19,852

窒素燐検出器及び炎 光光度型検出器付き ガスクロマトグラフ

Agilent7890ANPD 1 H.20.8 7,630

セミクリーンルーム SC-B53TTS 1 H.5.11 20,600 高速液体クロマトグ ラフ/質量分析装置

ウォーターズ社

UPLC-TQD 1 H.20.8 23,835

卓上型四重極GC/MS HP社 HP5972A 1 H.7.3 15,656 ゲルマニウム半導体核種分析装置 キャンベラジャパン

GC3018 1 H.21.2 18,270

ガスクロマトグラフ HP5890A シリーズ

Ⅱ 1 H.7.6 7,971 リアルタイムPCR

PE ハ ゙ イ オ シ ス テ ム ス ゙

ABIPRISM7900HT-4 1 H.21.8 14,931

原子吸光分光光度計 パーキンエルマー

SIMAA6000 1 H.7.6 14,461 DNAシークェンサー

ライフテクノロジージャパン

ABI3500 1 H.22.1 17,503

高速液体クロマトグ ラフ

島津LC-10Aシステ

ム 1 H.7.7 10,290

高速液体クロマトグ ラフ

島津製作所

Prominence UFLCXR 1 H.22.2 9,292

超ミクロトーム ライヘルト

ULTRACUT-R 1 H.7.7 5,613 ECDガ スク ロマ トグ ラ フ

島津製作所

GC-2010Plus 1 H.22.2 6,373

高速液体クロマトグ ラフ/アミノ酸分析

島津LC-10Aシステ

ム 1 H.9.3 9,038

ガスクロマトグラフ /質量分析装置

サーモフィッシャーサイエンティフィック

TSQ QuantumGC 1 H.22.3 22,449 高速液体クロマトグ

ラフ/カルバメート 分析

島津LC-10Aシステ

ム 1 H.9.3 9,064 イオンクロマトグラフ

日本ダイオネクス社

ICS-2100 1 H.22.3 6,646

ガスクロマトグラフ 島津GC-17A 1 H.11.3 6,594 誘導結合プラズマ 発光分光分析装置

パーキンエルマー

OPTIMA7300DV 1 H.22.3 12,285

電子顕微鏡 日立H-7500 1 H.11.3 49,245 蛍光X線分析装置 エスアイアイナノテクノロジー

SEA1200VX 1 H.22.3 9,975

高速液体クロマトグ ラフ/質量分析計

HP1100

フィニガンAQA 1 H.12.3 16,515

キャピラリー電気泳動・質 量分析装置

アジレントテクノロジー

7100B,6410BA 1 H23.3 28,087

リアルタイムPCR ABI PRISM

7900HT-4 1 H.14.2 15,067

ゲルマニウム半導体 核種分析装置

キャンペラジャパン

GC3520 1 H.23.10 19,110

高速液体クロマトグ ラフ/質量分析計

Agilent1100

LC/MSDシステム 1 H.14.3 27,835 モニタリングシステム アロカ MAR-22 1 H26.1 6,216

P&T高速ガスクロマトグラフ /質量分析装置

サーモクエスト

HS2000 1 H.15.1 21,693 原子吸光光度計

17 年式日立ハイテクノロ

ジーズ Z-2000 1 H26.3 6,930

キャピラリー電気泳動装置 大塚電子

(9)

2.7

予算・決算

2.7.1 歳入

科 目 調定額(円) 収入済額(円) 収入未済額(円)

(款)使用料及び手数料 (項)使用料

(目)衛生使用料 (節)財産使用料 (項)手数料

(目)衛生手数料

(節)健康生活科学研究所手数料 (款)諸収入

(項)受託事業収入

(目)衛生費受託事業収入

(節)健康科学研究センター研究受託費収入 (項)雑 入

(目)雑 入

(節) 目的外使用許可等収入 (節)臨床研修医研修受入収入 (節)雑 入

40,586,931 545,861 545,861 545,861 40,041,070 40,041,070 40,041,070 283,518 200,000 200,000 200,000 83,518 83,518 20,040 11,875 51,603 40,586,931 545,861 545,861 545,861 40,041,070 40,041,070 40,041,070 283,518 200,000 200,000 200,000 83,518 83,518 20,040 11,875 51,603 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

計 40,870,449 40,870,449 0

2.7.2 手数料及び受託事業収入の内訳

項 目 件 数 金 額

水 質 検 査

温 泉 分 析 試 験 料

食 品 検 査

生 物 学 的 検 査 料

5,572 8 12 96

件 35,634,070

699,400 55,200 3,652,400

計 5,688 40,041,070

2.7.3 歳出

(単位:円) 科 目 予算令達額 決 算 額

人件費 旅 費 需用費 備品費 その他 計 健康科学研究センター職員費

健康科学研究センター職員費 健康科学研究センター運営及び調査研究費 健康科学研究センター整備費 一般管理事務費等

196,680,415 2,537,351 116,377,000 33,801,000 186,000 196,680,415 2,537,351

21,148,887 2,080,174 23,553,201

16,539,437 9,947,016

68,575,012 6,491,438 185,328 196,680,415 2,537,351 115,357,274 32,977,891 185,328

研究センター費 小計 349,581,766 220,366,653 2,080,174 40,092,638 9,947,016 75,251,778 347,738,259 食品衛生指導費

水道法施行経費 大気汚染対策費 健康福祉事務所運営費 医療法等施行経費 薬事法等施行経費 野菜振興対策費 酪農振興対策費 水産環境保全対策費 漁場整備開発費

感染症・ハンセン病等対策費

19,822,500 700,000 5,677,000 302,000 20,000 16,236,000 15,000 5,000 519,000 40,000 18,088,276 2,344,596 2,136,749 303,000 295,493 425,000 581,000 11,288,500 700,000 1,036,920 302,000 16,686 11,146,500 15,000 5,000 519,000 40,000 11,429,276 254,880 327,240 1,912,896 7,976,000 1,996,488 4,333,300 2,020,000 19,822,380 700,000 5,673,497 302,000 16,686 16,232,040 15,000 5,000 519,000 40,000 18,079,921

(10)

3

部の概要

3.1

危機管理部

健康危機への対応及び連絡調整を適切に行うた めに,地方衛生研究所全国協議会近畿支部が主催 する健康危機事象模擬訓練の事務局を担い,地方 衛生研究所全国協議会近畿支部内の模擬訓練の課 題等の整理を行った.

また,地域保健関係従事者の人材育成として, 関係機関からの依頼により各種研修会の企画・調 整を行い,健康福祉事務所職員等の知識・技術の 向上に寄与した.

食品衛生検査施設における検査等の業務管理 (GLP)については,当研究所(2 研究部),健康 福祉事務所(5検査室),食肉衛生検査センター及 び食肉衛生検査所に対し,内部点検を実施した. また,平成28年度から,感染症の予防及び感染 症の患者に対する医療に関する法律の一部改正に 伴う検査施設における病原体等検査の業務管理 (GLP)として,当研究所(1 研究部),健康福祉 事務所(5検査室)に対し,内部監査を実施した. 各部の研究業務の企画及び調整として,各種外 部資金導入にかかる研究業務の企画及び調整に努 めるとともに,研究課題等評価調整会議において 研究課題の内部評価並びに試験分析及び普及指導 について内部点検を行った.特に,研究活動の推 進に対する指導・助言等を得るために,研究アド バイザーの積極的な活用に努めた.

また,研究成果の普及のために県民向け公開講 座を開催するとともに研究報告,業務年報及び広 報誌の発行並びにホームページのリニューアル等 により,県民及び関係機関などへの情報提供を積 極的に行った.

さらに,当研究所の一翼を担う生活科学総合セ ンターとは,県民の安全・安心に一元的に対応す るために,情報交換や連携強化に努め,一体的な 取り組みに向け調整を行った.

特に,平成28年度は,県立健康生活科学研究所 第4期中期事業計画(平成26年度から平成28年 度)が終期年度を迎えたため,3 年間の実績を取 りまとめて,外部評価専門委員会で機関評価を受 け,その評価等を踏まえて第5期中期事業計画(平 成29年度から平成31年度)を策定した.

機関評価の結果及び第5期中期事業計画につい ては,県ホームページで公開している.

3.1.1 健康危機管理

(1) 健康危機管理への対応

健康危機に対応するため,健康危機管理マニュ アルを整備するとともに,例年,地研全国協議会 近畿支部が実施している健康危機模擬訓練(理化 学検査の精度管理を含む.)について,平成 28 年度は当研究センターが事務局として取り組ん だ.

健康危機模擬訓練の実施日は,平成28 年10月 11日(火)を基準日とし,保健所への食品(輸入 食品ゼリー菓子)の有症苦情の事例を想定し,原 因物質を究明するための健康危機事象模擬訓練及 び原因物質(D-ソルビトール)の検査についての 精度管理事業を実施した.

参加形態 参加機関数

模擬訓練のみ 7か所

精度点検のみ 4か所

模擬訓練及び鮮度点検 5か所

(2) 職員対象の研修会の開催

職員の資質の向上を図るため次表のとおり研修 会を開催した.

当所職員以外の地域保健関係従事者等に対する 研修会は7.3及び7.4に記載している.

3.1.2 GLP信頼性確保部門業務

(1) 食品GLP信頼性確保部門

平成10年4月1日付け「兵庫県の食品衛生検査施 設における検査等の業務管理要綱」(平成26年4 月1日一部改正)に基づき,当研究所感染症部及び

月日 テーマ 講 師

8. 3 日本人の食品添加物の

1日摂取量調査研究

兵庫栄養調理製菓専門学校

講師 伊藤 誉志男

9.21

ノンターゲット分析手 法に関する研究及び水 道水質検査のあり方に 関する新たな提言

国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生課学部

第三室長 小林 憲弘

12.9

感染症をめぐる二つの

話題(βラクタマーセ産生菌/

性感染症)

三田市民病院 事業管理者・

病院長 荒川 創一

2.22

食品・フリーラジカル分野で の低分子化合物の検出 定量法の構築とその応 用

兵庫県立大学環境人間学部 教授・同大学先端食科学研究 センター

(11)

健康科学部,検査室設置健康福祉事務所(宝塚, 加古川,龍野,豊岡及び洲本)並びに食肉衛生検 査センター,食肉衛生検査所(西播磨,但馬,淡 路)の計11施設に対して内部精度管理及び外部精 度管理調査の結果を確認するとともに,内部点検 を実施し,検査等の信頼性確保を行った.

平成28年度内部精度管理は,理化学検査323項目, 微生物学検査283項目を実施した.その結果,1施設 でzスコアが2を超える事例があったが,再検査を 実施し,検査の精度を確認した.外部精度管理は, 一般財団法人食品薬品安全センター秦野研究所が 実施する食品衛生外部精度管理調査において,理 化学調査は,重金属検査(カドミウム),食品添 加物検査Ⅰ(着色料),食品添加物検査Ⅱ(安息 香酸),残留農薬検査Ⅱ(チオベンガルブ,マラ チオン,クロルピリホス),残留動物用医薬品検 査(スルファジミジン),微生物学調査は,一般 細菌数測定検査に参加した.その結果,1施設でR が管理基準線を超えた事例があったが,収去検査 を実施する際,内部精度管理で適合を確認してい ること,基準値の適否の判断を行う行政検査に影 響を与えるレベルではないことを確認した.

信頼性確保部門による内部点検は,標準作業書 の管理に関する点検,検査等の結果の処理に関す る点検を重要点検項目とし,定期点検11施設,検 査項目ごとの点検37日178項目,内部精度管理に係 る点検18日221項目,外部精度管理調査に係る点検 11日18項目を実施した.

内部点検の結果,検査結果通知書において,検 査担当者名の記載が漏れていたこと,検査結果通 知書において,生菌数の検査結果の記載に誤りが あったこと及びこれらのことについて検査区分責 任者の確認漏れがあったことを不適事項とし,是 正した.その他,記録のチェック漏れ等について は口頭注意とした.

なお,昨年度に引き続き食品衛生検査施設に対 して自己点検を推奨するとともに,更なる効果的, 効率的な内部点検の実施に努めた.

(2) 感染症GLP信頼性確保部門

平成28年3月7日付け「兵庫県の検査施設におけ る感染症病原体等検査の業務管理要領」に基づき, 当研究所感染症部,検査室設置健康福祉事務所(宝 塚,加古川,龍野,豊岡及び洲本)の計6施設への 内部監査を実施した.また,GLP対象検査を実施し

た施設に対して内部精度管理及び外部精度管理調 査の結果を確認し,検査等の信頼性確保を行った.

平成28年度内部精度管理は,26項目を実施した. 外部精度管理は,厚生労働省が実施する外部精度 管理事業のテーマ,インフルエンザウイルスの核 酸抽出検査(リアルタイムRT-PCR法)による型・ 亜型診断検査に参加し,適切な結果が得られた. 信頼性確保部門による内部監査は,定期監査6 施設,検査項目ごとの監査4日13項目,精度管理に 係る監査3日11項目を実施した.

内部監査では,良好な結果が得られた.

3.1.3 研究支援・企画調整

(1) 研究課題等評価調整会議の開催

平成28年12月5日(月)に平成28年度県立健 康生活科学研究所研究課題等評価調整会議(内部 評価委員会)を開催し,研究課題14 題について, 事前評価及び事後評価を受けた.なお,中間評価 及び追跡評価に係る研究課題はなかった.

評価結果は,事前評価を受けた研究課題9題に ついて全て採択された.

ア 事前評価

・(感染症部)ウイルス性発疹症の病原体解析 と迅速検査法の確立に関する研究

・(感染症部)24 領域VNTR法を用いた遺伝子型 別による結核菌分子疫学調査に関する研究 ・(健康科学部)食品中のカビ毒類の簡易分析

法の開発

・(健康科学部)食中毒の原因となる自然毒の 検査方法の確立および探索

・(健康科学部)違法薬物の迅速検査体制の強 化

・(健康科学部)LC/TOF-MSを用いた動物用医薬 品一斉分析法の開発

・(健康科学部)温泉資源保護に繋げるための 兵庫県内の温泉地等における影響圏の設定 ・(健康科学部)水源施設等のデータベース化

及びマッピングに基づく要監視地点の選択 的,集中的実態調査(耐塩素性原虫追加) ・(健康科学部)化学物質による水質汚染事故

を想定したターゲット及びノンターゲット 分析手法の開発

イ 事後評価

(12)

究 -リケッチア感染症対策を中心に- ・(感染症部)インフルエンザウイルスの性状

解析及び迅速検査診断法に関する研究 ・(感染症部)食中毒細菌の病原因子の保有実

態に関する調査研究

・(健康科学部)水道法規制・未規制金属類の 多成分一斉分析法開発に関する研究

・(健康科学部)水道水源における消毒副生成 物前駆物質の迅速検査手法の開発

なお,研究課題の事前評価4題及び事後評価 3 題について外部評価専門委員会健康科学研究 センター評価部会による外部評価(平成29年1 月31日開催)を受けた.

(2) 倫理審査委員会の開催

人を対象とする研究や人体より採取した試料 (血液,尿等)を用いる研究の実施にあたっては, 倫理的妥当性や科学的合理性が求められるととも に,個人情報などプライバシーに配慮することが 不可欠なため,文部科学省・厚生労働省告示「人 を対象とした医学系研究に関する倫理指針」(平成 26年告示第3号)に基づき,第三者を含む委員か ら構成する倫理審査委員会を設置,開催し,意見 を聞いて適正に実施している,また,開催状況, 結果等については研究倫理審査委員会報告システ ム(厚生労働省)及び当研究センターのホームペ ージで公表している.

平成28年度は,審査する研究課題が無かったた め開催していない.

(3) 研究アドバイザーの設置

最新の技術分野の補完や現場サイドの観点から の多様な事例を踏まえた指導・助言等を得るため, 外部の有識者を「研究アドバイザー」として委嘱 した.

平成28年度は,細菌感染症及び食品・飲料水関 連等の分野の専門家5人を招聘した.

(4) 兵庫県立大学との連携

今後の研究活動に資するため,兵庫県立大学(理 学部及び環境人間学部)で取り組まれている研究 と当研究センターの研究について情報交換や研究 成果についての理解を深めるため,合同で研究発 表会を開催した.

月日 合同研究発表会内容

11.30

○県立大学環境人間学部との研究発表会 【研究発表】

・「融点の異なるスクロースの調理特性」 県立大学環境人間学部

先端食科学研究センター教授 坂本 薫

・「動的粘弾性測定法による食品のゲル化と分解過 程の解析」

県立大学環境人間学部

先端食科学研究センター教授 吉村 美紀

・「A群ロタウイルスの検出状況と遺伝子解析」

感染症部主任研究員 髙井 伝仕

・「牛の筋肉および腎臓のモネンシンナトリウム残 留分析法の検討」

健康科学部主任研究員 服部 涼子

【意見交換及び施設見学】

2.10

○県立大学理学部との研究発表会 【研究発表】

・「バクテリアの感染戦略:エフェクターによる宿 主防御経路の阻害機構」

兵庫県立大学理学部

構造細胞生理学 教授 水島 恒裕

・「兵庫県におけるVNTR法を用いた結核菌分子疫

学解析」

感染症部 研究員 荻田 堅一

・「牛の筋肉および腎臓のモネンシンナトリウム残

留分析法の検討」

健康科学部 主任研究員 服部 涼子

【意見交換】

(5) オンライン文献検索システム(JDream)の利用

洋雑誌の高騰,予算縮減の中,研究に必要な文 献検索を十分に実施できるよう,専門図書購読に 代え平成17年4月より固定料金制のオンライン文 献検索システム(JDream)を導入している.

その使用実績は,平成28年度の検索回数は175 回であった.

3.1.4 情報発信・提供

(1) 公開講座(講演会)の開催

平成29年2月9日(木),兵庫県民会館パルテホ ールで開催した.内容は次表のとおりで,県民及 び関係者73人が参加した.

(2) 研究・調査発表会の開催

平成28年9月14日(水),研究センター講堂で 開催した.当研究センター感染症部及び健康科学 部及び健康福祉事務所検査室から,現在取り組ん でいる研究・調査について9題の発表が行われ, 54人が参加した.

演 題 名 講 師 等

特別講演

・兵庫県におけるマダニ刺症と ダニ媒介性感染症

兵庫医科大学皮膚科学

准教授 夏秋 優

一般講演

・感染症媒介蚊の対策について ・医薬品の基礎知識

・生活用品による科学物質暴露 と健康リスク評価

感染症部長 望月 利洋

副研究所長兼

健康科学部長 吉田 昌史

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(3) 広報誌の発行

広報誌「健科研リポート」を年2回発行し,ホ ームページに掲載するとともに,広く県民に情報 提供を行った.

当研究センターの業務を県民に対して分かりや すく解説するため,話題性を考慮した特集記事, トピックス,研究センター便りとして編集した. 第14号(平成28年8月発行)では,特集に“水 道水中のかび臭物質”及び“結核・死者150万人 !!-結核の現状と低まん延化に向けた取り組みについ て-”を掲載した.トピックスでは“ジカウイルス 感染症やデング熱等の蚊媒介感染症”について掲 載し,研究センター便りでは“兵庫県立須磨友が 丘高等学校職場訪問”を紹介した.

第15号(平成28年12月発行)では,特集に“カ ビ毒「アフラトキシン」について”及び“ダニに よる感染症”を取り上げた.また,トピックスと して,“ジェネリック医薬品をめぐる取り組み”を 掲載するとともに,研究センター便りでは“県立 健康生活科学研究所公開講座の開催”で公開講座 の開催を紹介した.

(4) ホームページの運営

県民生活の安全と安心を守るため,調査研究結 果や感染症や食品,医薬品,飲料水などに対する 科学的・技術的情報について,ホームページを通 じて広く県民に提供した.

トップページでは,トピックスとして感染症情 報,花粉情報,講演会の案内等について掲載した. 感染症情報は毎週,花粉情報はスギ・ヒノキ花粉 飛散シーズン中に毎日更新して県民に最新情報を 提供した.また,年報や広報誌等の出版物を発行し た際は,その内容を全文掲載し,講師派遣や研修 の受け入れについても掲載した.

(14)

3.2

感染症部

感染症部では,「感染症の予防及び感染症の患者 に対する医療に関する法律」(以下「感染症法」) に基づく各種検査や調査研究及び感染症発生動向 調査を行い,それらの情報を感染症情報センター において関係機関や県民の方々に提供するととも に,「食品衛生法」による食中毒原因微生物の特定 や感染源調査など,行政ニーズに基づいた様々な 試験研究や情報提供を行い,感染症対策,食中毒 対策等を科学的に支援している.

① 新感染症への警戒

近年,新型インフルエンザの発生が危惧さ れていることから,季節性インフルエンザの 患者や野鳥等が保有するインフルエンザウ イルス遺伝子を検査して,新型インフルエン ザの発生を警戒している.

② 輸入感染症の侵入監視

ヒトや物の国際交流が盛んになるに伴い, MERS(中東呼吸器症候群),デング熱,ジカ ウイルス感染症等,散発する輸入感染症に備 え,検査体制を整えている.

③ 薬剤耐性対策への貢献

WHO で世界的な課題とされている薬剤耐性 菌対策として,腸内細菌における薬剤耐性遺 伝子の保有状況を調査している.

④ 食中毒,感染症対策等の支援

食中毒原因微生物の特定,麻しん,SFTS(重 症熱性血小板減少症候群),日本紅斑熱等の 病原体検査を行うほか,感染症発生動向を分 析して医療機関等に情報提供を行い,地域医 療を支援している.また,県内で年間 1,200 人を超える患者が発生している結核対策の 一環として,結核菌の遺伝子型別(VNTR)分 析を行い,これらの試験検査から得られた解 析データを県疾病対策課,健康福祉事務所と で共有して,感染源の追求や感染経路の解明 に寄与している.

⑤ 試験検査結果の信頼性確保

食品GLPに加え,平成 28年4月から適用 されている感染症GLPの遵守を徹底し,食中 毒,感染症等の原因となる微生物検査の信頼 性確保を図っている.

3.2.1 調査研究

(1) 兵庫県における重症手足口病の原因となるエ ンテロウイルス流行の早期把握に関する研究

手足口病は口腔粘膜と四肢末端に現れる水疱性 の発疹を主症状とし,主にエンテロウイルスによ って引き起こされる. 一般に手足口病の予後は良 好であるが,時に髄膜炎や脳炎等の中枢神経系合 併症を生ずることがある.

本研究では重症の手足口病を引き起こすウ

イルスの感染拡大の防止を目的とし,病原体 サーベイランス等で収集された検体について, 原因ウイルスの流行状況の把握と遺伝子型等 の分子疫学解析を実施すると共に,手足口病 の病因の迅速診断を可能とする検査体制の確 立に取り組んだ.

ア 手足口病の起因ウイルスの流行状況

平成28年度は,6月に 1 人からコクサッキー ウイルスA9型,8月に 1 人からエンテロウイル ス71型,9月以降に13人からコクサッキーウ イルス A6 型が検出された.コクサッキーウイ ルスA6型は,平成23年以降隔年で夏季に流行 が見られていたが,平成 28 年は秋から冬にか けての検出が確認された.

イ エンテロウイルス71型の遺伝子解析

エンテロウイルス 71 型は中枢神経系合併症 の発生率が高く,主にアジア地域で小児の重篤 例や死亡例が多数報告されている.平成 28 年 度に検出されたエンテロウイルス 71 型の遺伝 子型はC2 で,平成22年以降C2 の流行が継続 していた.C2が検出された患者の中には脳炎を 併発している症例が認められた.

ウ 迅速診断法の検討

手足口病の主要な原因ウイルスのエンテロ ウイルス71型,コクサッキーウイルスA16型, コクサッキーウイルス A6 型を同時に検出でき るPCR法を検討した.臨床検体に適用し,シー クエンス反応による塩基配列で同定した型と 同結果を得たが,一部に非特異反応が見られた ことから,さらなる検討が必要と思われる.

(2) 兵庫県における胃腸炎ウイルスの分子疫学解 析および迅速検査体制の構築に関する検討

(15)

について,遺伝子型別等の分子疫学解析を行った. さらに,多様な胃腸炎ウイルスを効率的に検出 するための検査診断法の改良に取り組んだ.

ア 胃腸炎ウイルスの遺伝子型別等による分子

疫学解析

平成 28 年度に病原体サーベイランスで収集 された小児の感染性胃腸炎患者の検体及び集 団食中毒・感染症事例において収集された検体 について,胃腸炎ウイルス検出と,分子疫学解 析による県内流行状況の把握に努めた.

当所に搬入された 27 食中毒等集団感染事例 のうち,ノロウイルスが 19 事例から検出され た.4種類の遺伝子型が検出され,GⅡ.2が 12 事例と最も多く,次いでGⅡ.4が4事例であっ た.一方,病原体サーベイランス由来検体では, 105検体中22検体からノロウイルスが検出され た.5 種類の遺伝子型が検出され,こちらも G Ⅱ.2が9検体と最も多く,次いでGⅡ.3が5検 体であった.このシーズンはすべての年齢層に おいてGⅡ.2が流行の主体となっていたことが 示唆された.

A 群ロタウイルスは,病原体サーベイランス 由来検体 105 検体中 15 検体から検出された. 平成27 年度及び28年度当初は遺伝子型G2 が 流行の主体となっていたが,平成 29 年 2 月以 降 G3 の検出頻度が増加しており,主流遺伝子 型の変遷が確認された.検出された G3 につい て VP6領域以降の解析を行ったところ,2型に 分類された.DS-1株とのリアソータントの可能 性が示唆され,この株の今後の動向に注意する 必要があると考えられた.

イ Multiplex-PCR法の検討

複数の胃腸炎ウイルスを効率的に検出する ため,試薬やプライマープローブ,反応条件等 の検討を行い,既存のリアルタイムPCR法を改 良したマルチプレックス PCR 法を検討した.A 群ロタウイルス,アストロウイルス,サポウイ ルスについて検討した検査法を病原体サーベ イランスに導入した.平成 28 年度に収集され た感染性胃腸炎患者の糞便検体105検体につい てウイルス検出を実施し,15検体からA群ロタ ウイルス,1 検体からアストロウイルス及び 5 検体からサポウイルスが検出された.

(3) ムンプスワクチンの安全性に関する調査研究

ムンプスウイルスの県内流行状況を分子疫学的 に把握するとともに,ムンプスワクチン接種後の 耳下腺腫脹,無菌性髄膜炎等副反応の出現頻度の 検証や原因ウイルスの同定に努め,ワクチンの安 全性評価の一助とする.今年度は,以下の2つの 項目について取り組んだ.

ア ムンプスウイルスの県内流行状況調査

流行性耳下腺炎の定点あたり患者報告数は 平成 27 年から 28 年にかけて増加し,28 年第 42週の報告数は 1.98とピークに達し,県内流 行が確認された.平成22年から23年に見られ た前回の流行以降,5 年ぶりに患者数が多い状 態で推移した.平成 28 年度に病原体サーベイ ランスにより収集され,ムンプスウイルス感染 が疑われた43人についてウイルス検出を行い, 14人からムンプスウイルスを検出した.そのう ち10 人は流行性耳下腺炎(疑い),4人は無菌 性髄膜炎であった.これらの患者由来の 14 株 についてSH領域(316塩基)の遺伝子型別を行 った結果,12株が遺伝子型G,2株がB型に分 類された.系統樹解析を行ったところ,検出さ れたG型はすべて主に西日本で流行が見られる Gw で,3つの群に分かれていた.この Gw の流 行が平成 27 年以降の患者数増加の一因となっ ているものと考えられ,今後も引き続き検出状 況に注意する必要があると考えられた.

イ ワクチン接種後の副反応調査

兵庫県小児科医会と連携し,ムンプスワクチ ン接種後に副反応を認めた検体についてウイ ルス検査を行い,原因ウイルスの同定に努めた. 平成 28 年度は 6 人についてウイルス検査を実 施し,そのうち3人からムンプスウイルスを検 出した.これらの患者由来の3株中ワクチン株 が2株(星野株)から検出され,1検体から野 生株(遺伝子型Gw)が検出された.なお,野生 株が検出された患者はワクチン接種前にムン プス感染者との接触が確認された.ワクチン株 陽性となった患者は1回目接種後の罹患で,耳 下腺腫脹,顎下腺腫脹や発熱等の症状が確認さ れた.ムンプスウイルス陰性の検体についてウ イルス探索を行い,ヒトヘルペスウイルス6等

(16)

(4) 歯科口腔保健と作業関連疾患との関連に関す る実証研究

厚生労働省労災疾病臨床研究補助金事業の研究 班に,兵庫県健康局健康増進課とともに研究協力 者として参加し,職域における歯科保健対策の有 効性について疫学的実証研究を行い,効果的な職 域における歯科保健対策について具体的な提言を 行うことを目的とする.

ア 成人歯科検診及び口腔保健指導

兵庫県内の 3 事業所において,平成 27 年度 歯科検診を受診した 115 人中,平成 28 年度も 引き続き受診したのは 70 人であった.このう ち,平成 27 年度口腔保健指導を行った介入群 は 38 人,口腔保健指導を行わなかった対照群 は 32人であった.対照群のうち,30人には平 成 28 年度歯科保健指導を行った.また,歯科 検診にあわせて,研究班で作成された「生活歯 援プログラム」質問票に基づく調査を昨年度に 引き続き実施した.

受診者一人あたりの歯科検診費用及び口腔 保健指導に要する費用を算出し,今後の事業実 施に向けて,価格設定及び費用効果性の把握の ための基礎資料とした.

イ 調査データの解析

兵庫県内の 3 事業所の歯科検診結果及び質問 票調査結果は,研究班の主任研究者の元に送ら れ,データベース化された後,還元された.

事業所ごとの歯科検診結果について,研究班 全体の検診結果との比較及び2年連続受診者の 年度比較を行い,歯科保健指導の基礎資料とし て健康増進課に提供した.

2年連続受診者について,平成27年度の介入 群と対照群の比較(ベースライン比較),各群 における平成27年度から28年度への変化量の 比較を行い,対照群での変化量を歯科検診の効 果,介入群の変化量から対照群の変化量を引い たものを口腔保健指導の効果とした.その結果, 以下のような効果が見られた.

歯科検診により,歯石や歯周の改善に伴い要 治療者が減り,「仕事に支障がある」者を減ら せた.口腔保健指導により,歯科医院での指導 を受けたり,フッ素入り歯磨きや歯間ブラシを 使ったり,間食を食べないようにしたりするこ とで,歯周病のリスクが減少し,「歯や口の状 態で気になることがある」者を減らせた.

(5) 兵庫県におけるインフルエンザウイルスの

性状解析に関する研究

インフルエンザウイルスは,同じ亜型の中で 毎年少しずつ変異する連続変異と亜型が変わる 不連続変異がある.季節性インフルエンザウイ ルスは,流行を繰り返す度に連続変異が生じる ことで,抗原性が変化してワクチンの効果の低 下を招き,また,薬剤耐性株が出現している. このような背景から,本研究課題では,県内 で収集されたヒト,ブタ,トリ由来のウイルス 分離株の型・亜型を解析して流行株の動向を調 査すると共に,これらの変異を把握するための シークエンス解析,薬剤耐性変異や赤血球凝集 活性等の詳細な性状を解析する.また,新たな インフルエンザの同定検査法の導入や改良に取 り組む.

ア 鳥インフルエンザウイルスの分離,同定,遺 伝学的性状解析

新型インフルエンザウイルス系統調査・保存事 業の一環として平成28年11月に実施した県内の 水鳥(カモ類)の糞便調査で,1検体から鳥イン フルエンザウイルス(A/duck/Hyogo/1/2016)株 を分離した.遺伝子検査により H5 型であるこ と が 判 明 し , 国 立 感 染 症 研 究 所 の 検 査 で A(H5N6)型と同定された.また,遺伝子性状の 比較により平成28年11月以降,韓国及び日本 の野鳥及び家禽で流行した株と近似している ことが分かった.分離された株は平成 29 年 2 月に世界保健機関(WHO)で開催されたワクチ ン選定会議においてワクチン候補株に選ばれ た.

イ インフルエンザウイルスの遺伝学的性状解析

感染症発生動向調査により収集された県内 分離株について,抗原性に関与するヘマグルチ ニン(HA)遺伝子の HA1領域の塩基配列を決定 し,系統樹解析を行った.

解析した A(H1N1)pdm09 ウイルスは,昨シー ズンと同様にすべてクレード 6B に属し,サブ クレード6B.1に分類された.

(17)

した株が多くみられ,遺伝学的に多様化が進ん でいることが明らかとなった.

B型Victoria系統のウイルスは,すべてワク

チン株 B/テキサス/2/2013 株と同じクレード

1Aに属し,Yamagata系統は,すべてワクチン

株 B/プーケット/3073/2013 株と同じクレー ド3に分類され,遺伝学的にワクチン株と類 似していることが分かった.

ウ 抗インフルエンザ薬耐性ウイルスの検出

県内で分離されたウイルス株について,ノイ ラミニダーゼ(NA)遺伝子の薬剤耐性マーカー の検出を試みた.その結果,今シーズンは耐性 マーカーが認められなかった.

(6) 薬剤耐性菌の耐性遺伝子保有実態に関する調 査研究

薬剤耐性遺伝子の検出法を確立し,兵庫県内で 発生した食中毒事例,院内感染事例等について検 査を実施して耐性遺伝子の保有状況を明らかにす る.また,県内のと畜場に搬入された牛等の家畜 における薬剤耐性菌及び耐性遺伝子の保有実態を 調査する.

ア コンベンショナルPCR法による薬剤耐性遺伝 子検出法の確立

現在,薬剤耐性菌として最も警戒されている カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)に関 連した薬剤耐性遺伝子として,①基質拡張型β -ラクタマーゼ(ESBL)遺伝子,②カルバペネ マーゼ遺伝子及び③AmpC 型β-ラクタマーゼ遺 伝 子 を 対 象 に , 主 要 な 遺 伝 子 型 を 検 出 す る MultiplexPCR法を確立した.

イ 家畜における薬剤耐性遺伝子の保有実態調査

兵庫県内産牛における薬剤耐性遺伝子の保 有実態を調査する目的で,加古川食肉センター でと畜された牛の腸内容物 100 検体について, ESBL 遺伝子(TEM 型,SHV 型,CTX-M 型),カ ルバペネマーゼ遺伝子(KPC型,IMP 型,VIM型, NDM型,OXA-48型)及びAmpC型β-ラクタマー ゼ遺伝子(MOX型,CIT型,DHA型,ACC型,EBC 型,FOX型)の検出を行った.大腸菌 5株から

CTX-M型のESBL遺伝子が検出された.カルバペ

ネマーゼ遺伝子及び AmpC型β-ラクタマーゼ遺 伝子は検出されなかった.

ウ CRE 感染症患者由来菌株の薬剤耐性遺伝子保 有状況調査

CRE 感染症として届出のあった患者1名から 分離されたKlebsiella pneumoniaeについて耐 性遺伝子倹素を実施した結果,IMP-6 カルバペ ネマーゼ遺伝子と CTX-M-2 グループの ESBL 遺 伝子が検出された.

3.2.2 試験検査

(1) 結核菌の同定試験及び結核の感染源調査

健康福祉事務所から検査依頼があった139検体 について遺伝子型別(JATA(12)-VNTR 法)分析を 行った.同一患者の検体及び結核菌群以外の菌を 除いた125菌株の内,44 菌株が新たに同一遺伝子 型のクラスターを形成した.また,INH など抗結 核薬9薬剤及びLVFXまたは PZAの感受性試験を実 施した結果,2 菌株に薬剤耐性がみられた.その 内訳は,THとCSの多剤耐性1菌株,INH とTHの 多剤耐性1菌株であった.

(2) 血液検査による集団結核菌感染の早期診断

平成28年度は,結核の集団感染事例等で民間検 査機関での迅速な接触者検診が困難な場合に限り, 行政依頼によって当研究センターでクオンティフ ェロンTBゴールド検査を行った.健康福祉事務所 から116検体が搬入され,陽性7検体,判定保留 2検体,陰性107検体であった.

(3) 腸管出血性大腸菌感染症に係る依頼検査

健康福祉事務所から依頼のあった腸管出血性大 腸菌67菌株(O157 25株,O26 39株,O111 1株, O103 1株, O121 1株)について血清型別,毒素 型別を実施した.また,集団発生が疑われる事例 では PFGE解析を実施した.また,国立感染症研究 所ではMLVA解析が行われ,広域関連事例の検出に 活用された.

(4) 細菌による食中毒(疑)事例の感染源,感染 経路調査

食中毒(疑)事例で分離されたカンピロバクタ ー1株について,菌種の同定を行った.

(5) 食中毒(疑)発生時のクドア(ヒラメ寄生虫) の検査

(18)

査を行った.

(6) 輸入ナチュラルチーズのリステリア菌検査

食品衛生対策事業の一環として販売店で収去さ れた輸入ナチュラルチーズ16検体について,リス テリア菌(L.monocytogenes)の検査を行った. その結果,検体からリステリア菌は検出されな かった.

(7) その他の細菌の依頼検査

健康福祉事務所からの依頼により,感染症の患 者から分離された赤痢菌や肺炎球菌等の菌株につ いて,生化学性状試験や血清型別検査等を行った.

乳児ボツリヌス症疑いの患者便及びハチミツに ついて,マウス試験によるボツリヌス毒素の検出 及び培養法にボツリヌス菌の分離・同定を試み, いずれも陰性であることを確認した.

(8) インフルエンザ集団感染事例等におけるイン フルエンザウイルスの検査

インフルエンザの流行初期,流行期に小学校や 保育所等においてインフルエンザ様疾患患者が集 団発生した事例や重症例,薬剤耐性が疑われる事 例について,健康福祉事務所の依頼に基づきイン フルエンザウイルスの検査を実施した.

集団感染が発生した3施設から計6検体が搬入 され,すべてA(H3N2)型のウイルスが検出された.

重症患者から採取された2検体はA(H1N1)pdm09 ウイルスが検出され,薬剤耐性が疑われる患者か らは検出されなかった.

(9) 感染症発生動向調査におけるインフルエンザ ウイルスの検査

県内のインフルエンザの流行状況を把握するた め,定点医療機関で採取された検体のインフルエ ンザウイルス検査を行った.

ア 21 か所の定点医療機関からインフルエンザ の流行期を中心として延べ157 回にわたり243 検体が搬入された.

イ 搬入された咽頭あるいは鼻腔ぬぐい液の検 体のうち236検体(97%)からインフルエンザ ウ イ ル ス が 検 出 さ れ ,6 検 体 (3%) か ら A(H1N1)pdm09 ウイルス,191 検体(81%)から A(H3N2)ウ イ ル ス ,15 検 体 (6% ) か ら B 型 (Victoria系統)ウイルス,24検体(10%)か

らB型(Yamagata系統)ウイルスが検出された.

(10) 平成28年度新型インフルエンザウイルス系

統調査・保存事業(厚生労働省への協力事業)

新型インフルエンザウイルスの出現が予測され るウイルス株のうちワクチン製造や検査キット等 の作製に必要な株を事前に収集し,迅速なワクチ ンの生産や検査キットの供給を可能にすることを 目的として,トリのインフルエンザウイルスの分 離を試みた.

冬季に県内のため池に飛来した水鳥(ホシハジ ロ,ヒドリガモ等)の糞便240検体について発育 鶏卵法によりウイルス分離を試みた.その結果,1 検 体 か ら イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス 分 離 さ れ ,

A(H5N6)型と同定された.

(11) 平成28年度新型インフルエンザウイルスの

出現監視を目的とした感染源調査(厚生労働省 感染症流行予測調査)

新型インフルエンザウイルスの出現監視を目的 として,県内産の豚の鼻腔スワブからインフルエ ンザウイルスの分離を行った.6月から3月にか けて毎月約10頭,合計100頭から検体を採取した.

その結果,いずれの検体からもインフルエンザ ウイルスは分離されなかった.

(12) 平成28年度日本脳炎感染源調査(厚生労働

省感染症流行予測調査)

日本脳炎の発生を未然に予測し,その予防対策 を効果的に行うため,6 か月未満の豚血清中の日 本脳炎ウイルスに対する赤血球凝集抑制(HI)抗 体を測定し,日本脳炎ウイルスの活動状況を調査 した. 7月から 9 月にかけて県内飼育ブタから8 回にわたり採血し,1回当たり約10頭,合計80 頭分の血清を検査した.

その結果,いずれの検体からも日本脳炎ウイル スのHI抗体は検出されなかった.

(13) 蚊媒介感染症の検査

(19)

疑い患者 21 人から採取された血液,尿などの 32検体を検査した結果,6人の検体からデングウ イルス1型,2人からデングウイルス3型,1人か らデングウイルス 2 型が検出された.これらの患 者の渡航先はタイ,マレーシア,ベトナム等の東 南アジアが多くを占めていた.

(14) 飼育鳥の高病原性鳥インフルエンザウイル

スの検査

動物愛護センターからの依頼に基づき,県内の ため池で飼育され,死亡したコブハクチョウ2羽 (4検体)について,リアルタイムRT-PCR法によ るH5型のインフルエンザ遺伝子検査を実施した.

その結果,H5型のインフルエンザウイルスは検 出されなかった.

(15) 鳥インフルエンザA(H5N1,H7N9)ウイルスの

検査

カンボジアで鶏との接触歴があり,香港及びカ ンボジアから帰国した後,発熱等のインフルエン ザ様の症状を呈した患者2人(2検体)について, 健康福祉事務所からの依頼に基づき,鳥インフル

エンザ A(H5N1,H7N9)及び季節性インフルエンザ

ウイルスの検査を実施した.

その結果,2 検体から鳥インフルエンザウイル スは検出されず,A(H3N2)型のウイルスが検出され た.

(16) 麻しんウイルスの検査

麻しんの排除状態を維持するため,麻しんウイ ルスの遺伝子型を調査し,土着株の伝播がないこ とを確認している.麻しんと届出された42人の患 者(血液,咽頭ぬぐい液等119検体)について遺 伝子検査を行った結果,6人18検体から麻しんウ イルスが検出された.2人は遺伝子型 D8,4人は 遺伝子型H1で土着株は検出されなかった.

(17) 風しんウイルスの検査

県内での風しんの流行実態を把握するため,風 しんウイルスの遺伝子検出を実施した.患者4人 (血液,咽頭ぬぐい液等9検体)の検査を行った 結果,1人から風しんウイルス遺伝子型2Bを検出 した.

(18) 急性脳炎・脳症等の実態把握調査

原因不明の急性脳炎・脳症の実態解明のため, 日本脳炎ウイルス,インフルエンザウイルス,HHV6, エンテロウイルス等の病原体検索を行った.患者 2人の血液,髄液,咽頭ぬぐい液,尿,便等10検 体の検査を行ったが,いずれの検体からもウイル スは検出されなかった.

(19) エンテロウイルスの検査

保健所設置市からの依頼により,脊髄炎及び髄 膜炎患者1人の咽頭ぬぐい液と便について,エン テロウイルスの遺伝子検査を行ったが,エンテロ ウイルスは検出されなかった.

(20) ウイルスによる集団嘔吐下痢症及び食中毒

(疑)事例の感染源,感染経路調査

県下でウイルス感染が疑われた集団感染症事例 や食中毒疑い事例について,原因病原体やその感 染ルートを解明するため,健康福祉事務所からの 依頼により,ノロウイルス(NoV)等の検査を実施 した.

ア 下痢症ウイルス感染が疑われた 27 集団嘔吐 下痢症事例で採取された患者便や推定原因食 品などについて,原因微生物追求のためのウイ ルス検査を実施し,NoVが19事例で検出された. イ 27事例のうち,食品等を介した感染が疑われ

たのは 25 事例,小学校や保育所などの施設又 は地域流行と考えられたのは2事例であった. ウ 健康福祉事務所等から依頼された 27 事例由

来の 150 検体(患者便等 76 検体,調理従事者 便44検体,拭き取り30検体)について検査し, 67検体(患者便等54検体,調理従事者便11検 体,拭き取り2検体)からNoVが検出された. エ NoV陽性の19事例のうち,遺伝子グループⅠ

(GⅠ)が単独で検出されたのは 1 事例,遺伝 子グループⅡ(GⅡ)が単独で検出されたのは 18 事例であった.遺伝子型別を行ったところ, GⅡ.2が最も多く検出され(12事例),次いでG Ⅱ.4(4事例),その他 GⅡ.17(2事例),GⅠ.7 (1事例)の計4種類の遺伝子型が検出された.

(21) 市販生食用かきのノロウイルス検査

(20)

2検体からノロウイルスが検出された.

(22) A型肝炎ウイルスの検査

健康福祉事務所から依頼により,1人のA型肝 炎ウイルスの検査を行ったところ,遺伝子検査陽 性であった.

(23) HIVのスクリーニング検査及び確認検査

HIV抗体スクリーニング検査は,平成17年度か ら健康福祉事務所において即日検査が行われてお り,当センターはスクリーニング陽性となった検 体の確認検査や,職員の健康診断等の検査を実施 している.今年度健康福祉事務所の依頼により実 施した 78検体のうち,73 検体はスクリーニング 検査で,すべてHIV抗体陰性であった.また,確 認検査を行った5検体のうち,1検体がHIV抗体 陽性であった.

(24) 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの検査

重症熱性血小板減少症候群を疑う患者について, 健康福祉事務所からの依頼によって9人から採取 された10検体について遺伝子検査を行ったが,同 ウイルス遺伝子は検出されなかった.

(25) 日本紅斑熱及びツツガムシ病リケッチアの検査

淡路島南部で散発する日本紅斑熱の原因リケッ チアであるRickettsia japonicaの抗体及び遺伝 子検査を健康福祉事務所等からの依頼により実施 している.これに加えて医療機関等からの検査希 望が多いツツガムシ病リケッチア(Orientia tsutsugamushi)についても遺伝子及び5種の血清 型抗原による抗体検査を実施した.

日本紅斑熱は21人43検体の依頼があり抗体検 査及び遺伝子検査で7人が陽性となった.ツツガ ムシは9人16検体抗体検査等で3人が陽性であっ た.

(26) 感染症発生動向調査における病原体検査(イ

ンフルエンザウイルスを除く)

感染症の原因となる病原体の県内の流行状況を 把握するため,小児科定点医療機関で採取された 患者検体の病原体検索を行った.平成 28 年度は 350人の患者の咽頭拭い液,髄液,便など 522 検 体の検査を行った.

ア 咽頭結膜熱

12人の患者のうち9人の咽頭ぬぐい液からア デノウイルスが検出された.5 人からアデノウ イルス2型,3人から1型,1人から64型が検 出された.

イ ヘルパンギーナ

13 人の患者のうち,6~8 月に検体を採取さ れた10人からコクサッキーウイルスA4が検出 された.

ウ 無菌性髄膜炎

14人の患者のうち,4人からムンプスウイル ス,2人からコクサッキーウイルス B5,その他 コクサッキーウイルス B1, エコーウイルス 6 型,水痘帯状疱疹ウイルスがそれぞれ1人から 検出された.

エ 感染性胃腸炎

66 人の患者から検体が採取され,21 人から ノロウイルス,13人から A 群ロタウイルスが検 出された.その他サポウイルス,アストロウイ ルス,アデノウイルス,パレコウイルス,エコ ーウイルス等のウイルスが検出された.

(27) 感染症発生動向調査週報患者情報分析

県内の感染症発生動向を把握するため,「感染症 の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法 律」及び「兵庫県感染症予防計画」に基づく感染 症発生動向調査が継続的に実施されている.当部 は基幹地方感染症情報センターとして,政令市を 含む県下の医療機関からの感染症患者情報を分析 し,週報として健康福祉事務所・保健所,市町,医 師会,医療機関等に還元すると共に,ホームペー ジを通じて広く県民に公開している.

週報対象疾病についてはインフルエンザ(鳥イ ンフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を 除く)が県下199定点から,小児科対象の11疾病 が129定点から,眼科対象の2疾病が35定点から, 病院対象(基幹定点)の 5 疾病が14定点から,毎 週健康福祉事務所・保健所を通じて報告される.

平成28年は延べ160,112人の患者報告があり, 毎週各疾病の発生状況を分析して,コメント及び グラフ化した発生状況を掲載した週報を 52 報発 行した.

(28) 感染症発生動向調査月報患者情報分析

(21)

性感染症の4疾病が県下46定点から,病院対象(基 幹定点)の3疾病が14定点から毎月健康福祉事務 所・保健所を通じて報告される.

平成28年は延べ2,171人の患者報告があり,毎

月各疾病の発生状況を分析して,コメント及びグ ラフ化した発生状況を掲載した月報を 12 報発行 した.

(29) 感染症発生動向調査年報患者情報分析

感染症法の対象疾病である1類から5類感染症, 新型インフルエンザ等感染症及び指定感染症の合 計112疾病のうち,全数把握の疾病(87疾病)は 県内すべての医療機関から,定点把握の疾病(25 疾病)は患者定点(294 定点)に指定された医療 機関からの患者発生届出が健康福祉事務所・保健 所に出されている.また,疑似症2疾病は疑似症 定点(県下295定点)に選定された医療機関から 健康福祉事務所・保健所に報告され,汎用サーベ イランスシステムに入力される.これらのデータ を集計,解析して各種感染症の動向に関するコメ ントを付けて,年報として健康福祉事務所・保健 所,市町,医師会や医療機関等に還元し,さらに ホームページに掲載して広く県民に公開している.

全数把握疾病では,ジカウイルス感染症が,平 成28年 2 月15日に4類感染症に追加された.

平成28年の全数把握疾病報告患者数は,1類感 染症,新型インフルエンザ等感染症及び指定感染 症とも報告がなかった.

2類感染症は結核が1,162人であった.

3類感染症は細菌性赤痢 5 人,腸管出血性大腸 菌感染症129人であった.

4類感染症はE型肝炎3人,A型肝炎8人,つつ が虫病9人,デング熱16人,日本紅斑熱13人, レジオネラ症71人であった.

5類感染症はアメーバ赤痢48人,ウイルス性肝 炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)16人,カルバ ペネム耐性腸内細菌科細菌感染症75人,急性脳炎 (ウエストナイル脳炎,西部ウマ脳炎,ダニ媒介 脳炎,東部ウマ脳炎,日本脳炎,ベネズエラウマ 脳炎及びリフトバレー熱を除く)51人,クロイツ フェルト・ヤコブ病10人,劇症型溶血性レンサ球 菌感染症27人,後天性免疫不全症候群34人,ジ アルジア症2人,侵襲性インフルエンザ菌感染症 17人,侵襲性髄膜炎菌感染症3人,侵襲性肺炎球 菌感染症142人,水痘(患者が入院を要すると認

められるものに限る)9人,梅毒 182人,播種性 クリプトコックス症3人,風しん9人,麻しん20 人であった(以上,平成29年3月6日現在の把握 数).

平成 27 年の兵庫県感染症発生動向調査事業年 報を編集し,冊子として発行した.

(30) インフルエンザ情報センターからの情報提供

新型インフルエンザ(H1N1)流行対策の検証委 員会の提言に基づき,インフルエンザに関する情 報を一元的に管理提供するため,学校サーベイラ ンス,医療機関情報及び広域・救急医療情報の 3 つのシステムのポータルサイトを県の感染症情報 センターホームページ上に設け,感染症発生動向 調査情報との一体的な情報提供を図った.

(31) 細菌診断キットの性能評価に係る受託研究

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